ドコモビジネス|NTTコム エンジニアリング

片野 美和子

ENGINEER

ネットワーク自動化のヒントは現場にある
潜在ニーズを掘り起こして業務の革新に挑む

片野 美和子

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    純粋な興味に導かれた“ネットワーク”の世界

    NTTドコモのショールームで受付を担当したことがきっかけとなり、ネットワークに興味を持つようになりました。ちょうど携帯電話からインターネットに接続できる「iモード」がリリースされたころで、連日のように多くのお客さまから技術用語を交えた質問をいただきました。自信を持って答えられるようになりたくて、いろいろと調べているうちにIPネットワークの仕組み自体に興味を持つようになりました。

    もっと深く知りたいという衝動にかられ、情報処理に加えて、Java、Linux、CCNA、CCNP(ベンダー技術認定資格)など、IT系資格を次々と取得していきました。その後、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)の法人向けの故障受付で、危機管理業務に携わることになりました。24時間体制で、故障が発生したら瞬時に危険性のレベルを判断し、幹部向けの一斉通知ボタンを押して社内速報を出す役割です。

    速報を出すと、故障統制のモニターが一瞬で赤く染まり、あちこちで警報音が鳴り響いて、フロアの空気が張り詰めたものへと一変します。直ちにサービスを復旧させるために、状況を受付担当に聞いて回りながら、「ネットワークは生きた現実なんだ、社会を支えて動いているんだ」と痛感しました。それまで机上のもののように感じていた存在が実感を伴うようになって感慨深かったですし、復旧の役に立ちたいと感じたことを覚えています。

    あるとき、大手銀行の回線を工事手順のミスで切断してしまった運用者が、お客さまから強い叱責を受ける場面に遭遇しました。ミスは誰であれ起きることですから、「人に依存しない方法はないのか。リスクを回避する仕組みが必要なのではないか」とつい考え込んでしまいましたね。「災害でもなければ、故障の主な原因は人間のミスだ。何も触らなければ、それほど発生するものではない」という統制担当社員の言葉が印象に残っています。

    安定してネットワークを機能させるためには、さまざまなレイヤーのリスクを考慮し、オペレーションのミスを防ぐ対策が必要です。

    一大プロジェクトに登用、知識と技術を積み重ねて

    その後、NTT Comのネットワークサービスの販売推進を支援することになったのですが、ここでもお客さまから専門的な内容の問い合わせを多くいただきました。仕様書を読んでわかることは限られていて、「詳細な技術仕様を知りたい、自分でも構築・設計してみたい」という思いが強くなっていきました。ネットワークという、目に見えないサービスを販売している心もとなさもありましたね。異例ではありましたが、ちょうど隣が開発担当だったこともあり、そちらへ担当変更してもらうことができました。

    開発担当では、ネットワークにシステム的にアプローチするさまざまな手法(SO投入、トラフィック管理、故障監視、SLA遅延測定など)の立ち上げに関わりました。ここでの経験が、後にネットワークの自動化・システム化を考えるうえでの大きなヒントになったと感じています。

    それから10年以上を経て、VoIP中継ネットワークの検証担当になりました。VoIPはリアルタイム通信ですから、通常のアプリケーションなら見過ごされるはずのわずかな切断がサービスの品質に大きく関わってきます。通信影響を1000分の1秒単位で測定し、プロトコルのタイマーを微調整するなどして、最小限にする工夫をしてきました。ネットワークの1から7までの全レイヤーを、完全に一人称で構築できるのは強みといえますね。

    NTTコム エンジニアリング株式会社の正社員に登用されたころ、固定電話などの公衆交換電話網(PSTN)を、2025年までにIP網へ移行する一大プロジェクトに携わることになりました。グループ内外の企業から多くのメンバーが参画し、多大な予算と時間の割り当てられた、失敗の許されないミッションです。

    仕事の範囲も急激に拡大し、とても1人では回せる量ではなくなってしまいました。周囲を巻き込まざるを得ない状況で考えたことの1つは、可能な限り機械化をすること。もう1つは、メンバーの適性を考慮した業務分担にすることで、やりがいを感じてもらい、生産性を向上させることです。技術だけでは解決しない問題はたくさんありますし、1人でできることも限られていますから。

    生産性向上を目指して試行錯誤を楽しむ“ネットワークインフラを支える自動化スペシャリスト”

    生産性向上を目指して試行錯誤を楽しむ“ネットワークインフラを支える自動化スペシャリスト”

    社員としてプロジェクトを任せられて、機器やシステム、人材などのリソースをどのように最適化すべきなのかを考えるようになりました。ネットワークの検証は、これまで人間が目視で判断するケースがほとんどでした。そこでメンバーに「何を基準にOKとしているか」と質問してみたことがあるのですが、さまざまな答えが返ってきて、人によってここまで違うのかと大変驚きましたね。

    相手によっては、思いがけず、新しい考え方や手法に出会えることもあります。一方で、人間による判断では、スキルや経験の差により結果が変化してしまうリスクもあります。ミスを防止するためには、人間とシステムが行う仕事を適切に分けていく必要があるのです。

    現在は、現場のメンバーとともに課題を洗い出し、システムツールで解決ができないか、試行錯誤を重ねています。ダメなら次を試し、機能が足りないなら追加する。こうした考え方で、これまでに30以上のツールを導入し、その中から業務にフィットするものを活用しています。合う合わないは、実際に試してみないことにはわかりません。現場が変われば必要なツールも変わってきますから、有名なツールだからといって、どのような現場にもフィットするわけではないんです。

    「何度でも、何種類でも試してみる」を簡単に実現できるのが、仮想基盤であり、OSSツールであり、スクリプト言語です。すぐにデプロイして、ネットワークをコード化し、人為的な判断ではない、システム的なアプローチを簡単に実現することができます。現時点では、ミニマムな実機環境以外に、商用相当の200台以上の仮想OSを使った疑似ネットワークを構築し、ツールを使って検証を自動化しています。これにより、人為的な判断ミスを激減させただけでなく、これまでの約半分の稼働で通常業務を回せるレベルにまで効率化を実現することができています。

    近い将来、ネットワークの業務全般が自動化されていくでしょう。徹底的にシステム化を進める一方で、創造的な領域は人間が担当する。生産性向上を目指して、ネットワーク自動化をリードするチームを作るのが私の目標です。自動化を進めていくなかでは、検証、運用、構築など、各フェーズにさまざまな課題が生じると思いますが、解決のヒントは現場にあるはずです。現場にしかわからないことを集積し、開発部門と共有・連携して解決していくのが、DevOps手法ですよね。「どうしたら達成できるのか?」を繰り返し考え、試行錯誤を楽しむスタンスを大切にしていきたいと考えています。

    OFF TIME

    テントを担いで自転車で長距離を走るのが好きです。クロスバイクをフルチューンして、ロード仕様に仕上げてパフォーマンスを最適化しています。過去に名古屋で断念した国道1号線走行を、東京・日本橋から大阪・梅田まで走破したいと思っています。

    片野 美和子

    PROFILE

    片野 美和子

    片野 美和子(かたの みわこ)/ネットワークインフラを支える自動化スペシャリスト
    2016年、NTTコムエンジニアリングに入社。音声通信からVoIP網へのネットワーク移行方式検討・検証業務に従事。ネットワークのレイヤー1~7まで、一人称で構築対応可能なスキルを持つ。自動化に向けて、求められる潜在ニーズを運用、設計、検証などさまざまな観点から日々探求中。システム開発の経験を生かしてDevOpsツールを駆使しネットワーク業務全般の革新に挑む。

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