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【アクションプログラム】マラウイ渡航レポ
~教育問題解決への挑戦③~

SDGs アクションプログラム

2025.06.09

【アクションプログラム】マラウイ渡航レポ<br>~教育問題解決への挑戦③~

Writer

SDGs推進室

清水 さち

最終準備!Are we ready?

こんにちは!SDGs推進室の清水です。
前回に引き続き、マラウイ渡航記の続きです。

会場の準備をする様子

いよいよSIFA当日。お天気にもとても恵まれました。
早めに会場に入り、段取りの確認と最終設営にとりかかりました。

開場時の様子

徐々にスポンサー企業の方がブースの設営に入られたり、ゲストスピーカーが来場され、学生たちも集まってきました。
SIFAついに開幕です!

来場した現地の方々との写真

SIFA(Social Innovators Forum in Africa)開幕!

さて、今回の渡航のメインイベントSIFAについて詳しくご紹介します。
開催にあたっての目的としては「1年後に起業家を輩出できるような仕組み/コミュニティ/プラットフォームを実装させるための一歩の実現」で、前回MFEC(Malawi Future Entrepreneurs Challenge)という、マラウイ国の発展や雇用創出につながる新規事業の創出、マラウイのために活動したい人の発掘・育成のためのイベント開催から半年後、今回のイベントを開催となりました。今回のイベントではMFECでのビジコンだけでなく、学生と企業がコネクションをもてるよう、さまざまなプログラムを用意し、1日がかりのイベントでした。

当日のプログラム

午前中は開会式のあと、ホールで学生向けピッチ大会を開催。
午後はパネリストを招いたkeynotesessionと、技術体験などの企業ブース、学生と企業をつなぐコミュニティカフェを同時開催しました。

会場に集まった人たちの様子

参加者は総勢80名となり、うち日本大使館やアメリカ大使館からの大使、またKeynote sessionのパネリスト8名(教育省/WFP)にもお越しいただきました。途中、マラウイのテレビ局にも来ていただき、インタビューされているゲストも見られ盛大なイベントとなりました。

舞台上の様子

MFEC(ビジネスピッチ)とコンサルティング

事前にピッチに出場したい学生を募り、47名からの応募の中から5名を選出して行いました。
テーマはICTに限定し、ゲストの前で発表してもらいました。

ビジネスピッチの様子

発表内容としては、マラウイならではの再生可能エネルギー×アプリ、ICT×幼児教育、農業コミュニティ×アプリなど、ICT要素の濃い発表となりました。
ピッチ経験のある学生から、初めて選出された学生と、発表前の学生の表情もさまざまでしたが、発表が終われば緊張も解け、安堵の様子が見られました。

学生が発表する様子

今回は順位を決めず、日本から作成した社長の飯田さんや、本イベント運営に携わっている企業の代表からの直筆のサイン入り賞状と、協賛企業からの副賞を5人に送りました。

発表終了後の記念撮影

ピッチの後は別室で起業家との1on1を実施しました。ピッチ直後のフィードバックの代わりに、別で時間を設け、発表内容に対してのコメントや、アイデアのブラッシュアップを実施しました。学生も直接アドバイスをいただき、有意義な時間となりました。

集合写真

Keynote Session

ランチを挟み、午後からはKeynote Sessionと題し、専門家や教育庁長が3つのテーマについてトークをしていただきました。国籍問わずマラウイに関係している方々からのお話は、とても興味深く、持ち時間を忘れるほど盛り上がりました。

Keynote Sessionの様子

「気候変動」
パネラー①:Professor Dr Stephen Makungwa(LUANAR)
森林保全、気候変動レジリエンス戦略が専門。マラウイ政府のカーボンクレジットシステム構築のワーキンググループにも有識者として参加。
パネラー②:Environmental Officer Ms Hanna Kasongo(Environmental Affairs Department)
気候変動プログラムの開発・実施のスペシャリスト。気候変動研究、技術開発・移転、気候変動能力開発などのテーマ分野で幅広く活躍。
パネラー③:Founder Mr Stanford Nsona(Nsona Enterprises)(NE)
Colorbathと共にブリケット・ソーラーボイラーといったエコエネルギー製品の製造に取り組むベンチャー企業の創設者。

京都議定書やパリ協定など気候変動に関する世界的枠組みを踏まえ、近年発生している異常気象に代表されるマラウイの課題を整理し、その上で、政策、民間事業それぞれの目線から解決に向けた取り組みを提示。特にNEからはブリケットやソーラーボイラーなどローテクかつ効果的なソリューションの可能性を議論していただきました。
興味深いお話で、学生を含め、会場から沢山の質問が出ていました。

Keynote Sessionの様子

「教育」
パネラー①:Director Dr Chomora Mikeka(Science, Technology and Innovation, Ministry of Education)
教育省のディレクター・大学の准教授を努めながら発明家でもあり、デジタル技術に関する特許を取得。安価なインターネットアクセスの実現に関する大学との共同研究を主導。マラウイICT協会より生涯功労者として表彰。
パネラー②:Teacher Ms Tionge Mtambo(Global teacher prize top 10 finalist)
マラウイの年間最優秀教師賞、教育分野のノーベル賞と言われる「グローバル・ティーチャー賞」を受賞
パネラー③:CEO Mr Yusuke Yoshikawa
Colorbath代表。教育プログラム開発や新規事業開発、海外展開支援、JICA事業に携わる。 世界経済フォーラムGlobal Shapers選出。

教育界のノーベル賞Global Teacher PrizeのTOP10ファイナリストの女性教師から、自身の経験を踏まえた女子生徒が良質な教育を受けることが難しかった事例や、それに対して自身が取り組んできたことや教育の意義を全体に共有。教育省担当者からは、会場参加者の中の教師や地方部の教育局関係者もステージに呼んで紹介しながら、未来に向けて教育を通して若者に希望を共に届けていこうという力強いメッセージが発信されました。
ミケカさんは、日本での留学経験もあり、他のスピーカーとのユーモアと熱意溢れるお話に会場もとても盛り上がりました。

Keynote Sessionの様子

「食糧安全保障」
パネラー①:Professor Dr Christopher Kanali(LUANAR)
農業工学、食品科学の専門家。再生可能エネルギー源と技術を使用して農産物の加工と保存に力を入れ、特に農村地域の人々の生活を向上させ、地域社会のエンパワメントに注力。また、小規模農家の生活向上のための農業機械化や、環境工学(廃棄物管理、空気の質、大気汚染と騒音の抑制など)にも取り組む。
パネラー②:Smallholder Farmers Support and Market Access Coordinator Ms Yuka Nabae(WFP)
パネラー③:Founder Ms Ngaba Chatata(Thanthwe Farms)
ハイビスカスでティー、ジャムとかスーパーに売る。南アとかザンビアにも、スマート農業も推進。Dr coffeeとも連携している。
パネラー④:Founder Mr Prince Tauzi(Kandikole Farms and Processors / Magumun investment)
農業・投資企業の創設者。零細農家からコーヒーを買い取り・加工してブランド化し成長させ、首都をはじめマラウイ市場で販売。他にもナッツ・コーヒー・唐辛子・ハチミツなどを加工・販売。

マラウイにおける食糧安全保障をどのように担保するか、農業工学の専門家、国連機関、大規模農場経営者それぞれの目線から議論。まずは生産の目線から、効率化により一定の供給量を担保しつづけるとともに、品質や安全性を高める重要性が提示された。さらに、それだけではなく十分な栄養価を保つ重要性も合わせて議論にあがり、国連WFPが行う農場と連携した学校給食プロジェクトの事例が示された。

Keynote Sessionの様子

企業ブース

企業ブースの様子

企業ブースは、9つの企業に出展していただき、開始前やティータイムなどのフリータイムに参加者が各企業ブースを見学できるような導線にしました。

企業ブースの様子

実際に商品購入できるブースは大盛況で、技術紹介をしていただいた企業についても、常に人が並び、大変人気が高かったです。
今回のイベントの様子を通して、次回のスポンサーも検討いただける企業もあったので、引き続きコミュニケーションを取り、関係構築に努めたいと思います。

エンジからも体験ブースを出展しました。VRゴーグルをトイドローンを用意し、学生と大人で料金設定を分けて実施しました。
屋外で出展したため、残念ながらトイドローンは風の影響で中止となってしまったのですが、VRゴーグルは大盛況でした。

学生1000MWK・大人5000MWKと、日本円でいうと100円・500円程なのですが、現地の感覚でいうと決して安くない金額ではありながら、
学生が学生を呼び、次から次に体験しに来てくれました。用意した映像も、東京の街散策、深海、スノーボードなど、マラウイでは体験できないようなコンテンツを選び、初めての体験を楽しんでくれているだけでなく、自身のリアクションに驚いたり、画面の中の体験に感動さえしてくれている方もいました。周りの方たちも、何が起きているか想像がつかない中で、体験している方の反応を見て楽しんでいて、準備してよかったと思えた瞬間でした。

コミュニティカフェ

コミュニティカフェ(コミュカフェ)では、起業家と企業したい人をつなげることを目的として実施しました。


コミュニティカフェのワークシートの写真

事前に学生にワークシート(ビジネスアイデア)を書いてもらい、その内容にそってアドバイザーと1on1を行い、今後のアドバイスや、起業に関してのノウハウをレクチャーしてもらう時間を作りました。

コミュニティカフェの様子

当日は合計10名の学生が参加し、起業家と起業したい学生のマッチング(連絡先の交換)にも成功することができました。前回のMFECに参加してくれた学生も数名参加してくれたりと、参加した学生からは非常に有効的アドバイスをもらえた!今後のビジネスの発展に活かしたいと語ってくれました。

コミュニティカフェの様子

無事終了!

イベントも終盤、一部プログラム内容を調整し、無事全てのプログラムが終了しました。
前回の渡航から約半年かけて準備し、イベント前日まで不確定要素もまだありましたが、いざ始まると無我夢中であっという間の時間でした。
前回のMFEC運営の経験から、慌てることなく冷静に進めることができた一方で、予想外の事が起きるのもイベントならでは。
それでもみんなで協力して臨機応変に対応することが出来たと思います。興奮冷めやらぬまま、それぞれいろんな思いを胸に、ホテルへ戻りました。

渡航記も次回が最終回となります!
長くなりましたが、今回もお読みいただきありがとうございました!

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