前向きなマインドとリーダーシップを身に付ける
実家が工務店を営んでいたこともあり、子どものころから、ものをつくることが好きだったようです。中学ではテニス部に所属し、ひたすらボールを追いかけていました。スポーツ全般に言えますが、ミスをして落ち込んだり、ネガティブな思考に陥ったりすると、途端に調子が崩れて、負けてしまったりします。当時、テニスの試合でそのような経験をして、とても悔しかった記憶があります。それ以来、「stay positive(前向きでいよう)」を座右の銘に、どんな状況でも常にポジティブでいることを心掛けています。いまでも、「どうしてそんなにポジティブなの?」と驚かれることがありますね。
実家の工務店を継ぐつもりで、中学卒業後は工業高校に進学します。自分で言うのは口幅ったいですが、不思議とまわりに人が集まる、クラスのムードメーカータイプだったと思います。人から頼られることも多く、「なんとか助けてあげたい」という気持ちを抱くようになります。振り返れば、このころから周りを引っ張るような機会が増え、自然とリーダーシップのようなものが鍛えられたのかもしれません。
当初の計画ならば、建築系の大学を目指すところですが、高校時代に「決められたレールを進むのはどうか」と考えるようになりました。とはいえ、大きく方向転換すると修正が効かなくなるため、建築の軸は保ちつつインテリアデザイナーを目指して専門学校に進学。空間デザインやユニバーサルデザインを学び、資格も取得しました。しかし、卒業間近に、もう少し軸をずらしたい気持ちが芽生えてきたのです。当時、トレンドだったクラウドに興味を持ち始めたこともあり、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)のクラウドサービスを構築・運用する仕事に就きます。工務店やインテリアデザイナーと同じく、クラウドサービスも広い意味でものづくりの現場ですので、すんなりと取り組むことができました。
チームで窮地を乗り越え、
アイデアで現場を革新する
ITに対しては、そもそもの知識やスキルが不足していたので、誰よりも勉強する覚悟で臨みました。なぜなら、同期社員の中では中心に立つことが多く、みんなをまとめるには誰にも負けないような知識やスキルが必要だと考えたのです。クラウドサービスを構築・運用する現場では、サーバーやストレージの詳細設計、構築、設定、切り替えなど幅広い業務に携わりました。仕事の面白さや奥深さがわかるにつれて、「さらに大きなステージに挑戦したい。エンジニアとして成長したい」という思いが募り、2015年にNTTコムエンジニアリング(以下、コムエンジ)への入社を決めます。
配属されたのは、以前と変わらずクラウドサービスを運用・構築する現場でした。しかしながら、構築担当だった私の転職により、構築業務もコムエンジに移管することになったのです。その際、以前からNTT Comが進めていた構築自動化のプロジェクトマネージャーを引き継ぐことになりました。すでにプロジェクト開始から1年が過ぎていたものの、明確な成果は出ていない状況で、プロジェクト中止の声も上がっていたタイミングでした。
そこで、私はフレームワークを学び、前提の明確化とチームメンバーの役割分担に着手しました。これにより、しっかりとしたゴールに向かってメンバーがプロジェクトを進められるようになり、構築自動化の商用導入を実現できました。この件では、窮地であっても人と人が協力し、同じゴールに向かえば困難な壁も乗り越えられることや、プロジェクトにおけるチームビルディングの重要さを学びました。
もうひとつ、忘れられないことがあります。上司と2人で現場の機器や設備をつなぐケーブルを扱うベンダーさんの工場を見学したときのことです。従来の現場では1台のサーバーラックに200本、300本単位のケーブルが必要で、ケーブリング作業には膨大な稼働と時間を費やしていました。その工場で上司が放った「クルマのボンネットを開けると、きれいにケーブルが配線されているけど、サーバーラックにも応用できないかな」という一言がきっかけとなり、ベンダーさんと一緒にアイデアを練りました。そして、クルマ用の技術をケーブリングに応用した製品を完成させ、特許出願もしました。これにより、4人がかりで10日間かかっていたケーブリングが、2人いれば1日で完了するようになったのです。この一連の取り組みでは、社長表彰をいただきました。
すべての社員と“挑戦する喜び”を共有したい
2021年より現在の未来領域ビジネス共創PJに所属し、NTT Com社内システムのインフラ開発を行う「Project SKY」を担当しています。未知の業務領域でしたが、新たなインフラ開発に挑戦したかったので志願してプロジェクトに参加しました。私はVMware社の製品を利用したクラウドシステム基盤を構築・運用するチームに参画し、メンバー13人を統括するポジションを務めています。この現場でも前任者の異動で急きょ業務を引き継いだり、大規模な拠点構築を託されたりと苦労しましたが、いくつか成果を出すことができ、自分も成長できたことは大きな収穫です。
これまで、いろいろな挑戦のチャンスを与えられ、おかげさまで何とか結果を出すことができています。運と機会に恵まれてきたという自覚もあります。そのため、「もっと社員1人ひとりがやりたいと思える仕事を増やしたい。そのための力になりたい」という思いを持っています。「未来ワーキング」の活動を知ったとき、ここならば、実現できるのではと考え、志願しました。
現在、未来ワーキングでは、コムエンジの全社員が幅広いナレッジを共有できる社内システムの構築に取り組んでいます。描いているゴールは、業務の悩みを解決し、学びの機会を得ることができ、すべての社員が一歩を踏み出して新たな挑戦ができるツールに仕上げることです。まだ道半ばですが、まずは社内周知を徹底して認知度を100%にしたいですね。そして、私が経験してきたように、楽しく仕事を回しながら、新しいことなどに挑戦する人たちがたくさん出てきてほしいと思っています。
今後の目標は、よりリーダーシップを発揮できるようなポジションに立ち、コムエンジの社員がいい仕事をできる環境をつくる、新規ビジネスを立ち上げてモデル化するなど、会社の利益に貢献するような取り組みを行うことです。個人的には、いつか工務店を営む父と一緒にゼロから家を建ててみたいと思っています。高校卒業以後、歩んできた道は異なりましたが、実はそれが小さいころからの夢なのです。
OFF TIME
プライベートでも、何でも挑戦したい性分です。趣味はテニスやスノーボードのアウトドア系から、映画やカードゲーム、お笑いライブなどのインドア系まで幅広いですね。MTG(Magic the Gathering)というトレーディングカードゲームの大会では、世界大会へ出場したこともあります。心を読みあう心理戦が魅力の奥の深いゲームなのです。
PROFILE
山崎 力
2015年、NTTコムエンジニアリングに入社。クラウドサービスの運用・構築の現場で培ったキャリアを生かし、現在は未来領域ビジネス共創PJに所属し、NTT Com社内システムのインフラ開発を行う「Project SKY」を担当している。前向きなマインドとチーム統率力で、会社の利益に貢献することを目指している。