ドコモビジネス|NTTコム エンジニアリング

今村 敦行

ENGINEER

考え抜くことができれば不可能なことはない
“最後の砦の番人”の果敢な挑戦は続いていく

今村 敦行

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  • ゲーム開発者を夢見る少年が<br>目指した新たな道とは

    ゲーム開発者を夢見る少年が
    目指した新たな道とは

    小学生のころ、好奇心から父のPCを触るようになり、中学生のころに独学でPerlというプログラミングを覚え始めました。いつしか、遊びの延長でオープンソースから探してきた素材をアレンジしてWEBブラウザでプレーできるオンラインゲームを開発し、配信するようになります。ゲームをプレーするユーザーのリアクションを見るのが面白く、またユーザーからのフィードバックを受けてゲームをアップデートするのが楽しかったですね。いま考えると、すべての始まりはここからでした。

    高校は普通科だったのですが、ゲームの開発や配信に強く心を動かされていたため、大学は情報学部に進みました。もちろん、専攻したのはゲーム開発です。しかし、いざ入学して学び始めると、ゲームなどのソフトウェア領域よりも、それらのコンテンツを支えるネットワークなどのインフラ領域に興味を持つようになります。きっかけは自宅のインターネットにトラブルが発生した際、自分で調べて復旧させたときに感じたネットワークの奥深さです。人と人をつなぐネットワークは普段つながって当たり前な存在ですが、それと同時に無くてはならない存在でもあることに気づきました。そんなネットワークを支えるような仕事に携わりたい。ネットワークへの関心が深まるなかで就活シーズンに突入したので、通信系の企業に絞って活動を開始しました。

    NTTコムエンジニアリング(以下、コムエンジ)に入社する決め手になったのは人事担当者の対応でした。フォーマルな面接というよりも、雑談を交えたカジュアルな感じの面接だったため、緊張感なくいろいろな話ができて理解を深めることができたのです。仕事内容はもちろん、こんな雰囲気のいい企業で働きたいという思いから入社を決意しました。

    入社後は、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)のVPNサービスを支えるバックボーンの運用保守業務に携わることになります。24時間365日体制、2交代の現場だったため最初は少し驚きましたが(笑)、よくよく考えれば大規模ネットワークの安定運用を支える仕事とはそういうものなのです。安定した運用を見守り、ひとたび問題が発生すれば、いかに短い時間で復旧するかが重要になります。自宅のネットワークを復旧するのとは影響範囲が違い過ぎます。現場に出て、あらためてアマチュアとプロフェッショナルの違いを肌で感じました。

    “砦の番人”、自動化で仲間をコロナから守る

    現場では、入社2年目にオペレーションリーダーに抜擢されました。後日理由を聞いたところ、技術の吸収力が高く、常に冷静に現場を回す人間的な適正が評価されたとのことですが、実は顔には出ないものの内心焦っていることが多々あります(笑)。

    運用保守のオペレーションでは自動化ツールが多数導入されており、プログラミングスキルを見込まれて入社1年目からツールのメンテナンスを担当します。ここでもアマとプロの責任感の差を痛感しました。バグは絶対にあってはならないので、慎重に取り組むうちに、新たなスキルを吸収することができました。その対応が評価されたのか、自動化ツールの開発を担当。自ら業務の課題を見つけ出し、新たなツールをいくつか開発・実装することで、運用保守業務の効率化を図りました。

    ツールを作ることでチームの仲間から喜ばれたことも、モチベーションになりましたね。また、新入社員時代にトレーナーさんから教わった「業務効率化のマインド」は今でも私の中に根付いています。それは「業務効率化はタスク単体に捕らわれず、業務全体を俯瞰して検討するべきである」というもの。つまり、業務全体を俯瞰したときに自動化に適した業務とそうでない業務があり、よく見極めなければ逆効果になるといった、とても大切なことをこの時に学びました。

    その後の異動で、音声サービスのCICDシステム(ソフトウェア開発を高速化する仕組み)の開発プロジェクトに参画し、ミドルウェア・アプリケーション構築の自動化に取り組みます。このプロジェクトでは、Ansible(構成管理ツール)を用いたInfrastructure as Code(インフラのコード化)を習熟したり、Git(分散型バージョン管理システム)によるバージョン管理の方法や、Jenkins(オープンソースの自動化ツール)を活用したモダンな開発手法を身に付けたりするなど、非常にいい経験が得られました。

    2019年から現在までは、NTT ComのUCaaS(統合コミュニケーションサービス)を検証するチームでプロジェクトマネージャーを担当しています。統合系サービスのため、使われている技術が音声、クラウド、サーバーなど幅広く、多様なスキルが求められますが、スキルの習得は苦にならないので、やりがいがあります。バージョンアップの際には改良部分が多いほど検証する項目は多くなり、長いときには3カ月かかることもあります。それでも検証は品質を担保する“最後の砦”ですので、その“砦の番人”となるべく取り組んでいます。

    最近の印象深い仕事は、コロナ禍における在宅勤務への移行対応です。世の中が在宅勤務へ移行する中、私のチームは実際の電話機を使って検証を行うため、出社を余儀なくされていました。サービスをご利用のお客さまにご迷惑をかけるためバージョンアップの検証は止められない。その一方でチームメンバーを出社させたくない。3割程度にとどまっていた在宅勤務の実施率を向上する手を1カ月ほど考えていたある日、デスクの上にあったIoTデバイスの「Raspberry Pi」を見て、ふっと降りてきたのです。これを使えばいけると。

    現場の電話機につないで音声やカメラ映像をWebRTC(HTMLのAPI)で送受信できるシステムを考案し、設計・開発を行いました。これにより在宅勤務率は90%を突破し、チームのメンバーが安心して働ける環境を構築しました。この「電話機を使った業務は会社でやる」という常識を覆した挑戦は、NTT Comグループ においてDXの取り組みを発表するイベント「DX Summit 2021」でアワードを受賞し、コムエンジの技術力を広くアピールできたと思っています。

    「不可能はない」と断言する<br>“自動化のスペシャリスト”

    「不可能はない」と断言する
    “自動化のスペシャリスト”

    検証の品質をさらに上げるため、私のチームでは育成と自動化に力を入れています。育成ではメンバー1人ひとりの個性や特性に合わせて得意分野を見極め、それを尊重してスキルを伸ばす育成を心掛けています。もう一方の自動化も、まだまだ検証業務に自動化の余地は残されており、1.5カ月かかっている電話機を使った検証を10日に短縮することが目標です。

    既に固定電話機を使った検証は自動化が完了しており、現在はスマートフォンを使った検証の自動化に取り組んでいます。検証結果の判断は高度なスキルが必要なため人が判断していますが、最終的には人に代わってAIが行う自動化を成し遂げたいと思っています。あたりまえを疑い、考えに考え抜くことで必ず突破口は見つかります。日頃から「(私にかかれば)不可能はない」と信じて、どんな困難に対しても突き進むことを信条としています。

    もともとスキルを習得することが好きなので、現在はPerl、Python、Rubyのプログラミング言語が使えます。加えてデータベースやWebのUI開発、サーバーの構築もできます。幅広い技術を複合的に使って、アイデアをフルスタック(開発における一通りの需要に応えられるようなスキル)で開発し、スピーディに実現することで、従来の常識を覆すような仕組みがつくれることが私の強みです。将来的には自動化とマネジメント、2つの分野のスペシャリストを目指しています。いずれ会社全体を巻き込み、社会課題を解決するDXを実現したいですね。

    座右の銘は「枯れた技術の水平思考」。任天堂でゲームボーイなどを開発した横井軍平氏の言葉です。古いテクノロジー(枯れた技術)を違う分野に転用し、新たな価値を生み出す思考法です。私が業務改革で使った「Raspberry Pi」は、2010年代前半に登場した手のひらサイズの数千円で買えるシングルボードコンピュータです。「IoTで広く普及しているこの小型コンピュータをうまく活用できないか」という水平思考によって、今回のようなアイデアが降りてきたと思っています。コムエンジには新旧豊富なアセットがありますので、これをうまく転用すれば不可能はないと考えています。

    OFF TIME

    学生時代からゲーム、バイク、楽器などが好きで、いろいろいじって遊んでいましたが、子どもができてからは育児にかかりっきりの日々です。仕事が在宅ワーク中心なこともあり、郊外の自然豊かな場所に住み、休みの日は子どもたちと自然や生き物に触れながらのんびりと過ごしています(笑)。ひと段落したらまた趣味とか新しいことにチャレンジしたいですね。

    今村 敦行

    PROFILE

    今村 敦行

    今村 敦行(いまむら あつゆき)/自動化のスペシャリスト
    2012年、NTTコムエンジニアリングに入社。VPNの運用保守、音声サービスのシステム開発を経て、現在はUCaaSの検証チームでプロジェクトマネージャーを担当している。これまで幅広い知見を生かし、いくつもの業務自動化、効率化を達成。不可能を可能にするスペシャリストである。

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