ドコモビジネス|NTTコム エンジニアリング

森田 大樹

ENGINEER

新しい技術はとことん遊び倒して“血肉”にする
若きアーキテクトが目指すシステム俯瞰の領域

森田 大樹

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    「学びは生涯続く」恩師の言葉を座右の銘に

    生まれは九州の熊本です。中学時代に描いた将来像は、地元の電力会社で働くことでした。学校の勉強はあまり好きではなかったのですが、将来を見据えて受験に取り組み、電力会社の就職に有利な高専に進学します。その際、(希望通りに進学できたことで)油断大敵だよという戒めだったのでしょうか。当時の国語の先生に「軻親断機」(かしんだんき)という言葉を教わりました。軻親とは儒学者の孟子の母で、幼い孟子が学問を投げ出そうとしたときに織機の糸を切断して、「学問を途中でやめることは、この織物と同じだ」と戒めたという故事です。いまでも、この言葉を座右の銘にしています。

    高専の専門的な科目は奥が深く、楽しみながら学ぶことができました。もともと電気系の知識を習得するつもりでしたが、いろいろな科目に触れる中で最も興味を抱いたのが情報系の科目です。ITが急速に進化し普及する中、アプリケーション開発に夢中になってしまいました。アルバイトでアプリ開発のシステムエンジニアとして働く一方、趣味で「くまモンのモグラたたき」というスマホアプリを開発してコンテストに応募したりしました。入選は逃しましたが、今でもいい思い出です。

    高専で学ぶうちに、電気系ではなく本格的に情報系の道に進む決意をします。興味が尽きず、何より勉強していて楽しかったのです。特に没頭したのは機械学習の研究でした。当時「ディープラーニング」という言葉はなかったのですが、線形代数学(線形空間と線形変換を中心とした理論)の研究などを行い、卒論は機械学習をテーマに選びました。

    就職シーズンを迎え、Web系システムソリューションの開発に携わりたい思いから、ソリューション事業とエンジニアリング事業を手広く手掛ける会社に入社。ところが、その会社が分割されることになり、私はエンジニアリングを専業とする会社で働くことに。それがNTTコムエンジニアリング(以下、コムエンジ)でした。正直、最初は戸惑いもありましたが、一方でクラウドがホットワードになっていて、「クラウドに関われれば面白そう」という思いから、エンジニリングの世界に飛び込みました。

    大規模故障を教訓に人為的ミスをゼロにする自動化を推進

    入社後はNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)のクラウド基盤の設計・構築の仕事に就きました。もともとアプリケーションに関する知識はあったものの、いざ現場で業務に関わると、わからないことばかりです。実際のサーバー見るのも、データセンターにケーブルを接続して設定するのも初めてで、覚えるべきことが山積みでした。

    そこで個人的に中古のサーバーやネットワーク機器を購入し、書店で専門書をそろえて、検証環境を自宅につくりました。半分は趣味ですので(笑)、暇を見つけてはあれこれいじって遊んでいました。それでも1年ほどでサーバーやネットワークの設計・構築ノウハウの基本をマスターできたので、自宅検証環境の効果は大きかったと思います。

    クラウド基盤の設計・構築業務では、忘れられない出来事があります。担当するクラウドサービスで大規模故障が発生したのです。故障の原因は設計・構築チームではなかったのですが、ITのプロである以上、お客さまにご迷惑をかけるようなことは絶対に避けなければならないと痛感しました。チームとして粛々と設計・構築をこなす業務が続いていましたので、故障が発生した際の影響範囲を実感できていなかったのです。この大規模故障を機に意識をあらため、人為的なミスが設備全体に及ぼす影響を明示化し、ミスを減らす対策を進めることになります。

    具体的には「クラウド基盤を監視するチームとの連携を強化する」「サービスに関わる機器に対してPing(ネットワークの疎通を確認するコマンド)を打ってシステムの正常性を常時確認する」など、安全性を高める仕組みの導入や手順の見直しを行いました。さらに人為的なミスを減らすために自動化にも取り組みます。本来であれば開発チームの領域なのですが、現場でできることはやってみようと思い、構築プロセスの自動化・省力化を進めていきました。

    連携強化や手順の見直し、そして自動化という一連の取り組みで人為的なミスはなくなり、クラウドサービスの構築案件でチーム内の故障ゼロを達成できました。その結果、サービス品質の向上に貢献できたことは、大きな達成感がありましたね。

    学びを止めない“システムアーキテクトのスペシャリスト”

    学びを止めない“システムアーキテクトのスペシャリスト”

    クラウド基盤の設計・構築に5年ほど携わり、現部署に異動しました。主な業務はNTT Comの社内インフラ基盤「SKY」上での新規マルチクラウドサービスを接続するための設計、技術検証、運用に関するテクニカルサポートなどです。異動した当初はコンテナ技術(OS上に設けた仮想的な領域で異なる複数OSを稼働させる技術)の知識はゼロだったのですが、ここで自宅検証環境の出番です(笑)。1カ月ほど遊び倒して、基本的な技術はマスターしました。

    その後も、コンテナの運用管理と自動化を行うKubernetes、効率的なソフトウェア開発手法のCI/CDなどをマスターしました。常に未知の技術に興味を持ち、ときには徹底的にいじり倒して楽しみながら身に付けられること、その結果、得られる技術習熟の速さが私のスペシャリティです。クラウドの普及により、スピードに重きを置くアジャイル開発主流の中、この持ち味が生かせるのではと考えています。

    次期社内インフラ監視基盤には、私がKubernetesで設計・検証した自動化の仕組みが実装されました。これまではユーザーの申請を受けて、仮想マシン上に立てた監視ソフトウェアを開発・運用担当者が手入力で設定して払い出していたのですが、それでは時間を要してしまいます。そこでGitLab(ソフトウェア開発支援環境)に監視ソフトウェアのマスターデータを置き、そこに設定値を上げれば自動的にサービス環境に反映する仕組み(GitOps)を取り入れました。これによりユーザーへの払い出しの迅速化や現場の負荷軽減、サービス品質の向上につながりました。

    夢は、システム全体を俯瞰して設計できるアーキテクトになることです。さまざまなサービスを支えるシステム全体の最適化に貢献し、コムエンジを技術力で引っ張っていく人間になりたいです。そのために、たとえばAI、IoTといった新しい技術に対しても、深く理解して自分の血肉にしていく取り組みを続けていきたいと思っています。そこで身に着けたナレッジを社内に水平展開して、コムエンジの技術レベルの底上げを図っていきたいですね。新たな技術を獲得する瞬間は、いつでも新鮮な喜びに満ちています。ですから、学びをやめないのではなく、“やめられない”のです(笑)。

    OFF TIME

    最近の趣味は、インドア寄りですね。世界的な競技プログラミングサイト「AtCoder」で毎月開催されるコンテストに参加して、プログラマーとしての力量を図ったり、自作PCを組み上げたり、とにかくあれこれ遊び倒して理解を深めていく時間が何より好きです。

    森田 大樹

    PROFILE

    森田 大樹

    森田 大樹(もりた だいき)/システムアーキテクトのスペシャリスト
    2015年、NTTコムエンジニアリングに入社。NTT Comのクラウド基盤の設計・構築を経て、現在は社内インフラ基盤「SKY」のマルチクラウド接続に関わる設計・技術検証などに従事している。新たな技術の習得に無上の喜びを感じる、根っからのエンジニア気質の持ち主。

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