ドコモビジネス|NTTコム エンジニアリング

小田 照敬

ENGINEER

すべての事実から最後に残った可能性を探し出す
人とシステムのトラブルシューティングのセオリー

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    鉄腕アトム、ドラえもんに憧れロボット開発者を夢見る

    子どものころは『鉄腕アトム』や『ドラえもん』などの漫画・アニメに夢中になり、いつかロボットをつくってみたいと思っていました。中学生になると、ポケットコンピューターを入手し、遊びながらプログラミングの初歩を学びます。高校でも理数系の科目が得意だったこともあり、将来ロボットに関わることを目指して、大学は工学部・機械工学科に進学しました。

    ところが、当時はロボットと言っても工場などで使われる産業用ロボットくらいしかなく、アトムやドラえもんには程遠い現実を知り、「これじゃない」という気分になりました(笑)。それでも研究室では、マイクロマシンという小さなロボットの研究、具体的には内視鏡の先につける油圧アクチュエーターの研究をしました。そのような学業の傍ら、大学の入学祝いで入手したPCで、同人ゲームをつくり、イベントなどで販売していました。

    将来ロボット系に進むか、それともコンピューター系に進むべきか迷っていたこともあり、大学院に進学するつもりでした。ところが4年になって、単位を取り損ねて大学院に進めないことが判明します。急きょ遅めの就職活動を開始しますが、そこでバブルが弾けたのです。多くの大手企業が新卒募集をしない中、何とかNTTに採用され、社会人1年目に突入します(1999年分社化後は、NTTコミュニケーションズ所属)。

    システム開発の最前線で磨いた技術力と人間力

    入社した1993年はインターネットの黎明期、ようやくNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)がインターネットの商用化、ISP事業を発表したころです(ちなみにOCNの提供開始は1996年)。インターネットのようなコンピューター同士の通信に関わる仕事を希望したところ、最初に配属されたのはパケット通信事業部でした。これからインターネットが普及していく時期で、希望を最大限くみ取ってくれたと思います。当時は少々「これじゃない・・・」と思いましたが(笑)。

    最初の担当は、パケット通信サービスの顧客管理ソフトの開発です。顧客の名寄せ(複数データベースの同一人物、同一企業、同一世帯に対し、同一のIDを付与してデータを統合すること)をするシステムを作っていました。小さな部署だったのですが、内製でソフトの開発やアップデートができる楽しさがありました。

    5年ほど経ったころ、先輩から「面白いからおいでよ」と誘われ、社内公募でNTTPCコミュニケーションズ(以下、NTTPC)に出向します。内製でISPの課金システム、ECプラットフォームの決済エンジンなどを開発していました。そこに在籍していた営業担当がすごい方で、狙いをつけた企業との契約するために労をいとわないのです。組織図を調べ、キーマンを見つけ、そのキーマンが通うお店に通い詰めて「ぜひ君と仕事がしたい」と言われるほど仲良くなり、3年くらいかけて契約をまとめてきました。開発の現場は大変でしたが、いまでも忘れられないエピソードです。

    その後、人事異動でNTT Comに戻った期間もありますが、1年ほどでNTTPCに戻り、空港内にローカルワンセグを導入する案件のディレクターに任命されます。当時はなぜ放送事業者ではなく通信事業者が指名されたんだろうと思いましたが、この案件にも別のスター営業が関わっていたのです。バイタリティあふれる方で、いい意味で人の懐に入り込む天賦の才があり、ジャンルが違うような案件でも平気で取ってくるのです。

    この会社には、ほかにも数人のスター営業が在籍していました。何でもいいからお前と仕事がしたいと思わせる人、一緒にいると夢がもりもりわいてくる人、斬新なアイデアを持ってくる人など、タレントぞろいでしたね。皆さんと仕事ができたことはいい経験になりましたし、いまでも人間関係を築くお手本にしています。

    社内IT基盤を支える“NTTグループ内の隠れたソフトウェアスペシャリスト”

    社内IT基盤を支える“NTTグループ内の隠れたソフトウェアスペシャリスト”

    NTTグループの会社で何件かの開発案件を手掛けた後、NTTコム ソリューション&エンジニアリング(現NTTコムエンジニアリング)に異動し、情報システム部門で社内IT基盤を担当しています。コロナ禍でリモートワークに対応した際には、突貫工事で仮想デスクトップのゲートウェイを開発する一方、NTTコムエンジニアリング(以下、コムエンジ)のIT基盤の大部分をNTT ComのIT基盤に巻き取っていきました。ちょうどNTT ComがセキュアドPCを配布し始めていた時期でもあり、何度もリクエストを続けて1年で2,000台くらいは調達したのではないでしょうか。全社的なリモートワークに移行できたことには、安心しています。

    直近では、IT基盤に残ったコムエンジの資産を有効活用するプロジェクトを推進しています。いまコムエンジは変革の時期を迎えていて、従来業務に加えて、独自サービスの創出などによる新たな収益の柱をつくろうとしています。そんな新サービスの開発・検証などでIT基盤を活用できるようにして、コムエンジの変革に追い風を吹かせるミッションです。機密情報を扱わない条件でセキュリティポリシーを少し緩和して、自由かつスピーディにクラウドへの接続、ソフトウェアのインストールができる環境を目指しています。

    私の強みを挙げるとすれば、長年ソフトウェア開発や故障対応などで培ってきたトラブルシューティング能力でしょうか。ポイントは、なるべく多くの事実を集めることにあります。事実にもとづきトラブルの可能性を1つずつ消していくと、最後に残った可能性に必ず原因があります。たとえ、どんなにありえない可能性であっても、そこに真実があるのです。

    最近ではトラブルシューティング能力を買われて、なぜか人間関係のトラブルを仲裁する話も舞い込んでくるようになりました(笑)。システムのトラブルであればデータという事実を集められますが、人間同士のトラブルはそうはいきません。とにかく双方の言い分を聞いて事実を積み重ね、原因の可能性をつぶしていきます。そして最後に残った可能性、人の場合は思い違いや勘違いであることが多いのですが、そこを客観的、道理的に正し、各人の思いをすり合わせて、浮き彫りにしていくことで、大体は丸くおさまるものです。

    今後、システムや人間関係のトラブルシューティング能力をコムエンジの若い社員たちに継承していくことが私の使命だと考えています。さらに、開発の現場でお世話になったオープンソースプロジェクトに企業の立場で関わり、メンテナンス対応や資金提供などで恩に報いる社会貢献の体制づくりにも挑戦したいです。個人的には55歳で定年を迎えたら国内外の名所を旅する計画を立てていたのですが、もう少し頑張らないといけませんね(笑)。

    OFF TIME

    紅茶が好きな私と、ティーカップ、ポットなどの紅茶の茶器が好きな妻の趣味が相まって、休日はカフェやホテルでアフタヌーンティーを楽しんでいます。旅行も好きなので、現在の状況が落ち着いたら、小笠原諸島の父島・母島に妻と訪ねたいと思っています。

    小田 照敬

    PROFILE

    小田 照敬

    小田 照敬(おだ てるたか)/NTTグループ内の隠れたソフトウェアスペシャリスト
    1993年、NTTコミュニケーションズに入社。さまざまな現場の最前線でシステム、ソフトウェア開発にあたってきた豊富な知見を生かし、現在はNTTコムエンジニアリングの情報システム部門で社内IT基盤の有効活用プロジェクトに携わる。システムから人間関係まで、トラブル解決に秀でたスペシャリストである。

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