ドコモビジネス|NTTコム エンジニアリング

木村 倫也

ENGINEER

原因不明のトラブルを幾度も解決してきた
エースエンジニアが挑む“攻めの保守”サービス

木村 倫也

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    機械いじりの好きな少年が見たIT業界の光

    父親がクルマの整備士だったこともあり、幼いころから大のクルマ好きです。特にメカニズムに興味があり、電卓などの機械を分解するのが好きでした。将来は、漠然と機械関係の仕事に就きたいと思っていたところ、2000年前後は急速にITが発展してきた時期で、小学校のPC教室でインターネット接続ができるようになったり、「2000年問題」が世間を騒がせたりしていました。これからはITの時代が来ると思い、専門的な技術を習得するために高専に進学します。

    高専では、情報工学科で電気・電子・コンピュータサイエンスなどを勉強します。プログラムにも挑戦したしたのですが、うまく組み上げることができず、苦手意識を持ってしまいました。一方でハードウェアのアーキテクチャには興味があり、勉強も好きでした。少ないお小遣いで自作PCを組み上げるなど、情報系に進んでも生粋のメカ好き、ハードウェア好きは変わりません。

    高専の卒業が迫り、進路を決める際、学校で学ぶよりも実社会で実践してみたいと思い、就職を選びました。高専には学校推薦の仕組みがあり、進路指導室に幅広い企業からの求人情報が集まってきます。その中で目に留まったのが、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)でした。堅実なイメージのNTTグループの中でも、ISP事業としてOCNを提供している先進性、そして暮らしやビジネスを社会インフラのネットワークで“つなぐ”使命に共感して、入社を希望しました。

    顧客の問題解決を最優先する“攻めの保守”をキラーコンテンツに

    最初の配属はNTT Comの東海支店で、法人のお客さま向けに広域イーサネットサービスを利用した拠点間ネットワークの構築、設計を行うSE業務に加え、担当営業とお客さま先に同行して提案を支援する技術営業を担当しました。一度お客さまの拠点が遠くて、なかなか担当営業が足を運べず、他社にサービスを取られそうになったことがあります。すぐに訪問し、しっかり話を聞き、有益な提案をして食い止めたのですが、お客さまとの対話の重要性をひしひしと感じました。この仕事で、お客さまの接点を担う現場業務のノウハウや面白さも学びました。

    2年ほどで異動になり、次に配属されたのが同じ広域イーサネットサービスの運用保守を担うNTTコム エンジニアリングの東京オペレーションセンター(TOC)です。幸いサービスの知識はSEや技術営業で叩き込まれていたので、着任早々、ベテランのオペレーターから「新入りなのに何でそんなに詳しいの!?」と驚かれました(笑)。ここで1年ほど運用保守に関わる業務を経験した後、いまの部署に配属されます。

    私のチームのミッションは、お客さまの視点に立ったトラブルシューティングを通して新たな価値を提供することです。この考えに立ち、こちらに原因が無くても、まずはお客さまのお困りごとを解決するという方針で進めています。たとえば、「レスキュー」活動は原因不明のトラブルに対する取り組みです。通常、TOCがお客さまから故障の連絡を受けた際、保守対応範囲のサービスが正常に動いている場合は打つ手がありません。一方、レスキューは保守対応の範囲外であっても、お客さまの設備やアプリケーションを含めた総合的な調査・解析により原因を突き止め、トラブルを解消へと導きます。

    「レスキュー」においては、さまざまな測定器を駆使したり、ときには通信パケット1つ1つの動きを解析したりして、原因を究明します。このレスキュー活動をベースに、お客さまのネットワーク環境の課題の可視化・改善のサポートを行い、お客さまが感じる品質への不満を解消する「体感品質モニタリング」サービスへと発展させています。

    「レスキュー」も「体感品質モニタリング」も“攻めの保守”としてファンを獲得し、「こんな対応をしてくれるから、NTT Comのサービスを使い続けよう」と思っていただけるようなキラーコンテンツになることを目指しています。

    卓越した推理で“人と技術をつなぐスペシャリスト”

    卓越した推理で“人と技術をつなぐスペシャリスト”

    現在は、レスキューチームのエンジニアとして業務にあたっています。現場には、さまざまなトラブルが持ち込まれます。システム上の監視ツールでは検知できない原因不明の故障のほか、お客さま環境やプロトコルやアプリケーションの特性、サービス仕様、さらにそれらの組み合わせにより思った通り動かない事象が発生します。そのような一筋縄ではいかないトラブルに加えて、お客さまの勘違いや思い込みというケースもあります。

    そのため、ITのノウハウや、NTT Comの設備やサービスに対する理解、お客さまの業務やシステム環境の把握など広範な知識・知見が求められます。加えて、情報を引き出すお客さま対応力や、小さな違和感も見逃さない洞察力、俊敏に切り分けの道筋を立てていく事象整理力、フットワークなども欠かせません。これらを踏まえたうえで、技術的なロジックにも、お客さまの気持ちにも寄り添える立ち位置とバランスで課題解決に当たれることが、自分の最大の強みだと思います。

    一度、NTT Com設備内でサイレント故障が発生し、お客さまの業務に多大な影響を及ぼしてしまいました。原因不明のまま長期化したためレスキュー依頼が舞い込み、切り分け・対処に挑んだのですが、原因は設備の半導体メモリーの中身が、宇宙から降り注ぐ中性子線の影響で書き換わってしまい、装置の動作に異常を与えるという珍しいケースです。それを担当営業に話したところ「そんな荒唐無稽なことは説明できない」と一蹴されます。そこで、お客さまを訪問し情シスご担当者さまに説明したのですが、やはり反応は「?」です。結局、情シスの室長に直接説明することになります。

    情シスの室長は以前大学で半導体工学を学んだ方でした。幸か不幸か、いわばその分野のプロでしたので、生半可な説明ではお客さまの不安・不満が募る局面でした。技術的知見にもとづき経緯を説明すると「過去に勉強したけど、実際に起こるんだね」と納得していただきました。さらに、お客さまの状況を真摯に伺い、粘り強く切り分けて解析したこと、NTT Com社内の各部門へ今回のお客さまの業務インパクトを的確に伝えて事後の対策を実施してもらったことに対して、こちらが迷惑をかけたにも関わらず、非常に感謝されたのです。まさに「雨降って地固まる」で、結果的に取引の拡大にもつながりました。この噂が役員の耳に入り、社長表彰をいただくことになりました。レスキュー活動の真価をアピールするいい機会になったと思います。

    小さな手がかりを集めて仮説を立て、徐々に事象をひも解いていくレスキュー活動には、探偵の推理のようなやりがいを感じます。ただし扱うものがトラブルだけに、手放しで喜べるものではありません。お客さまから「楽しそうな仕事ですね」と共感いただいたこともありますが複雑な心境です。加えてTOCの設備保守チーム内では「厄介ごとを持ってくる男」が定着しているので、金曜の夕方などは、フロアを歩いていると誰も目を合わせてくれません(笑)。

    今後もお客さまとの接点を担う現場に軸足を置き、キャリアを重ねていきたいと思っています。競争が激化するIT業界ではサービスの均質化が進み、品質やコストなどで大きなアドバンテージを得るのは困難です。そこで「レスキューがNTT Comを選んだ理由」と言われることを目指しています。座右の銘は平凡ですが「日々精進」です。特に初物のトラブルが多いレスキュー活動では、些細なことも見逃さず、気に留めればすべて勉強になります。それが苦にならず、むしろ楽しめているのがいいのかもしれません。

    OFF TIME

    大人になったいまでもクルマが好きで、休日は箱根などをドライブしています。オークションサイトで、中古のルーターやスイッチを買って検証することも、趣味の1つです。「日々精進」の一環とも言えますが、やはりいまでも機械いじりがやめられないのです(笑)。

    木村 倫也

    PROFILE

    木村 倫也

    木村 倫也(きむら ともや)/人と技術をつなぐスペシャリスト
    2010年、NTTコミュニケーションズに入社。SE、技術営業、運用保守の現場を経て、現在は保守を起点とした新たなサービス企画にチャレンジしている。常にレスキューサービスの最前線に身を置き、日々研鑽を重ねている。人にも技術にも寄り添い、最適解を導き出すスペシャリストだ。ハードウェアに比べ、ソフトウェアは苦手意識はあるが、“自分の仕事を楽にするツール”として、プログラミング(Pythonなど)を勉強中。

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