ドコモビジネス|NTTドコモビジネスエンジニアリング

石田 智昭

EXPERT

輪番制で東京オペレーションセンターを支える
24時間365日の保守業務の現在

石田 智昭

ポケットベルとの出会いが通信の道を切り拓き、<br>やがて設計の最前線へ

ポケットベルとの出会いが通信の道を切り拓き、
やがて設計の最前線へ

1990年代、数字表示のできるポケットベルが流行していました。当時中学生だった私は、その小さな端末を通じて遠くの相手と瞬時につながることに大きな魅力を感じていました。固定電話が主流だった時代、友人の家へ電話をかけるたびに親御さんが出て、緊張しながら取り次いでもらっていましたが、ポケットベルによって友人と直接メッセージをやり取りできるようになり、コミュニケーションの形が大きく変わりました。このときに感じた「人と人をつなぐ通信の力」が、現在の仕事につながる原点だったのかもしれません。
家の近所にあったNTTの支店へ足を運び、インターネットの申込方法やプロバイダーの選び方を教わりながら契約したことを今でも覚えています。当時は分からないことばかりで、両親と相談しつつ、雑誌を片手に四苦八苦しながら手続きを進めましたが、それも今となっては良い思い出です。
また、テレホーダイを活用しながら、3~4人の仲間と「ICQ」というチャットソフトを使って情報交換を行い、インターネットを楽しんでいました。画面の向こうにいる仲間とリアルタイムで会話ができることに大きな魅力を感じ、通信の可能性に強く惹かれていきました。
このように日常的にインターネットや通信技術に触れる中で、「人と人をつなぐ仕事に携わりたい」と自然に考えるようになりました。そしてその思いを形にするため、情報処理系の高校、通信系の専門学校へ進学し、通信技術の基礎を学びました。

入社後は、回線提供に関わるさまざまな部署を経験してきました。最初に配属されたのは、ブロードアクセス回線の受付・設計業務を担当する部署です。主な業務は、NTTコミュニケーションズ(現・ドコモビジネス)の通信設備が設置された局舎やビルからお客さま拠点までを結ぶEnd-to-Endの回線経路を設計し、その経路情報をまとめた「回線原簿」を作成することでした。通信サービスを提供するうえで欠かせない基礎情報を扱う業務であり、約5~6年間にわたり従事しました。この経験を通じて、回線構成の理解や通信設備に関する知識を深めることができました。
その後は、大口グループ向け専用ネットワークである「PNET(Postal advanced NETwork system)」の回線廃止業務を担当し、多くの関係部署と連携しながら無事にプロジェクトを完遂しました。
続いて、通信設備に直接関わる業務から一歩離れSOデリバリー総括業務に従事し、その一環としてシーバンスビルのオフィス移転プロジェクトを担当しました。約1,000名規模のフロア移転に加え、社員のVC化施策にも携わり、各部署のレイアウト調整や机・椅子などの什器配置の取りまとめを実施しました。また、引越し業者との間で荷物の搬入場所や設置スケジュールの調整を行うとともに、必要な決裁や発注手続きも担当しました。
多くの関係者が関わる大規模プロジェクトであったため、課題管理や進捗管理の重要性を実感するとともに、関係者との調整力や計画的に物事を進める力を養うことができました。今振り返ると、その後の業務にも活かされる非常に貴重な経験だったと感じています。
その後、GCビル内の配線設計および工事発注業務にも従事しました。以前担当していた設計業務で作成した回線原簿をもとに、現地の担当部署や工事会社へ配線工事を依頼する業務です。これまで自分が作成していた回線原簿が、実際にどのような形で次の工程へ引き継がれ、現場の工事に活用されているのかを知ることができ、「こうしてサービスが作られていくのか」と改めて理解を深めることができました。
その後は高速設計業務へ配属され、1Gbps以上の大容量回線の設計を担当しました。以前担当していたブロードアクセス回線では、150Mbpsクラスを中心としたPDS/PON方式のサービスを取り扱い、多数のお客さまへの回線提供に携わっていました。一方、高速回線では、お客さまごとに個別性の高いシングル構成が基本となり、事前納期回答から本申込み受付、設計までを一貫して対応していました。
このように、アクセス系回線の設計、工事発注、構築に至るまで幅広い業務を経験し、回線提供プロセス全体への理解を深めることができました。開通業務こそ経験していませんが、それ以外のアクセスラインに関わる業務については一通り経験してきたと考えています。

現在は輪番制による東京オペレーションセンターの保守業務に従事

現在は、東京オペレーションセンター(TOC)のサービスフロント組織に所属し、TOC基盤担当として保守業務に従事しています。主な業務は、通信設備の突発的な故障や通信トラブルへの対応、障害・災害対応、特別保守対応などです。24時間365日の安定した通信サービスを維持するため、6輪番制による日勤・夜勤の交代勤務を行っています。生活リズムが不規則になりやすいため、体調管理は欠かせない重要な要素の1つです。国内のあらゆる通信サービスを支えるOSI参照モデルのL1層(物理層)の保守業務です。普段お客さまの目に触れることは少ないものの、日本の社会インフラや企業活動を支える重要な役割を担っています。私たちの使命は「通信を止めないこと」です。しかし、通信設備は精密機器である以上、故障を完全になくすことはできません。そのため、障害発生時には迅速な切り分けを行い、保守員の手配、修理・交換対応などの指揮統制をとることで、お客さまへの影響を最小限に抑えるよう努めています。
TOC内では各フロント・統制担当がお客さま対応を行います。設備担当である私たちは故障対応に集中することができます。一方で、TOC基盤から直接お客さまとやり取りを行う回線もあり、技術力だけでなく、状況を分かりやすく伝えるコミュニケーション能力も求められます。
中継設備に関する保守も私たちの重要な業務の1つです。対象となる設備には、WDM(波長分割多重方式)を採用した伝送装置や、OXC(光クロスコネクト)装置などがあります。
通信トラフィックの増加に伴い、装置内の伝送速度は2.4G、10G、40G、100G、400Gbへと高速化が進んでおり、今後は800G、さらにはテラ(Tbps)級の通信も視野に入っています。
WDM技術では、2芯の光ファイバーで複数の波長信号を同時に伝送することができるため、非常に効率的な通信を実現しています。その一方で、装置故障だけでなく波長異常や光ファイバー障害が発生した場合には、影響範囲が極めて大きくなります。状況によっては数千回線、場合によっては一万回線規模のお客さまサービスへ影響が及ぶ可能性もあります。
特にOXCを含む基幹伝送ネットワークは、社会や企業活動を支える通信インフラの中核を担っており、24時間365日安定して稼働し続けなければなりません。万が一の故障発生時には迅速な切り分けと復旧対応を行い、お客さまへの影響を最小限に抑えることを使命として業務にあたっています。
大規模な通信インフラを支えているという責任の重さを常に意識しながら、「通信を止めない」という強い使命感を持って保守業務に取り組んでいます。

上級オペレーター資格を取得し、輪番班長へ

上級オペレーター資格を取得し、輪番班長へ

TOCには育成ワーキンググループがあり、オペレーターの育成や社内資格制度の運営を行っています。私はその制度を活用し、2025年に上級オペレーター資格を取得しました。
上級オペレーター資格は、オペレーターとして必要な知識やスキルを客観的に評価し、高度な運用能力を認定することで、人材育成と保守品質の向上を目的とした資格です。受検機会は年1回で、一次試験の筆記試験、二次試験のカイゼンレポート提出、三次試験の面接を経て合否が決定されます。
受検には、初級・中級オペレーター資格の取得に加え、チーフ認定取得後1年以上の実務経験が必要です。基盤担当は保守対象設備や対応領域が非常に幅広いため、受検資格を満たすまでにも多くの知識と経験が求められます。
特に苦労したのは一次試験の準備でした。基盤保守ではアクセス設備から伝送設備まで幅広い装置を担当しており、出題範囲を絞り込むことが難しかったため、あらゆる分野に対応できるよう幅広く学習を進めました。また、過去問題が存在しなかったことから、これまでの出題傾向を分析し、自ら学習計画を立てながら対策を進めました。
輪番業務をこなしながら勉強時間を確保することは決して容易ではありませんでしたが、その過程で知識を体系的に整理し直すことができ、自身の理解をより深めることができました。資格取得はもちろん大きな成果でしたが、それ以上に設備知識や障害対応力を向上させる貴重な機会になったと感じています。
上級オペレーター資格取得後、基盤担当の班長を任せていただくことになりました。しかし、今でも自身の未熟さを感じる場面は多く、日々学びながら業務に取り組んでいます。
班長として常に意識しているのは、「平常時」ではなく、「負荷が揺れる現場」を前提にチームを運営することです。通信設備の故障や災害対応は、計画通りに発生するものではありません。そのため、メンバー一人ひとりの経験やスキルレベルを考慮しながら、最適な故障対応アサインを行うよう心掛けています。
一方で、故障は発生しないことが理想ですが、実際の障害対応を経験しなければ技術者として成長できないという側面もあります。そのため、新人対応時にはチーフが伴走しながら対応を経験してもらい、難易度の高い故障については私自身が対応した後に、チーフへノウハウを共有するなど、育成を意識したアサインを行っています。シミュレーションだけでは得られない実践的な経験を積んでもらうことが、将来のチーム力向上につながると考えています。
また、業務引継ぎの際には、チーム内で対応中の故障案件をすべて確認し、状況やリスクを整理したうえで次のシフトへ引き継ぐことを徹底しています。業務を止めない輪番業務だからこそ、確実な情報連携が極めて重要だと考えています。
輪番制の特徴は、突発的な事象に対し昼夜を問わず迅速な対応が求められることです。そのため、業務マネジメントも「計画通りに進まないこと」を前提に考える必要があります。私は技術面の育成だけでなく、メンバーの体調管理やストレスケアにも気を配り、安心して業務に取り組める環境づくりを大切にしています。
TOC基盤には、数多くの警報の中から真因を瞬時に見抜き、不明系故障であっても鋭い洞察力で被疑箇所を絞り込む、まさにエキスパートと呼ぶにふさわしいメンバーが揃っています。そのような高い技術力を持つ仲間たちに日々支えられながら、私自身も学び続けています。
班長としての私の役割は、技術力だけではなく、育成及び、チームが安心して力を発揮できる環境をつくることだと考えています。これからも謙虚な姿勢を忘れず、技術とコミュニケーションの両面でメンバーを支えながら、「通信を止めない」という使命を果たしていきたいと思います。そして、障害発生時であっても、お客さまに「この回線を利用していて良かった」と感じていただけるようなサービス運営を目指していきます。

OFF TIME
プライベートでは、家族の支えに恵まれ、2児の父として充実した日々を過ごしています。特に、輪番勤務という不規則な生活の中でも、家庭を支え、子どもたちと向き合う時間を作ってくれている妻には、照れくさくて普段はなかなか伝えられませんが、心から感謝しています。その存在の大きさを実感する場面は多く、仕事に安心して向き合えるのも家族の支えがあってこそだと感じています。
趣味はゲームです。学生時代には本気でプロを目指そうと思うほど熱中していました。現在は子どもたちと一緒にゲームを楽しむことも増え、親子のコミュニケーションの1つになっています。世代を超えて同じ楽しさを共有できるのも、ゲームの魅力の1つだと感じています。

石田 智昭

PROFILE

石田 智昭

ブロードバンドアクセス回線の受付・設計業務をはじめ、大口案件の回線廃止業務、SOデリバリー総括業務、局内配線設計業務、高速回線設計業務など、回線提供に関わる幅広い業務を経験。2025年に上級オペレーター認定を取得し、現在は東京オペレーションセンター(TOC)基盤担当の輪番班長として、24時間365日の通信インフラを支える保守業務に従事している。

一覧へ戻る