少女が情報インフラの世界を目指した大きな理由
父が転勤族でしたので、幼少期は東京と仙台で過ごしました。中学生のころは仙台でしたが、卒業のタイミングで東京へ転勤になるということと、理系の道を進みたいという思いから東京の高専への進学を決めます。その背景には、父がIT系の仕事をしているという影響もあったかもしれません。当時、所属していた合唱部のコンテストの練習に集中したい思いから、試験が早めの推薦入試を選びました。おかげで地区予選を勝ち抜き、全国大会の切符を手にしました。
ところが東日本大震災が発生したことで、コンテストが中止になってしまいました。それどころか、実家付近は被害こそ少なかったのですが、すべてのライフラインが停止しました。さらに、真偽不明のチェーンメールの情報に踊らされたのも怖い経験でした。その際、あらためて情報インフラの重要性を実感し、インフラにかかわる仕事に就きたいという思いが強固になりました。
高専では電子工学科に進み、電子回路などを学びました。在学中は、勉強もそれなりに取り組みましたが、茶道部や演劇同好会などの活動に熱中しました。就職活動では、ネットワーク業界にこだわらず、インフラ業界全般の企業説明会を回りました。NTTグループ会社もいくつか回ったのですが、長距離通信を担うカバーエリアの広いNTTドコモビジネスグループとして、さまざまなネットワークの運用保守を担うNTTドコモビジネスエンジニアリングが思い描いていたイメージにいちばん近かったので、第一志望と定め、入社することができました。
全国を網羅する社会インフラを支える誇り
入社から3年間ほどは、お客さまからの申し込み受付をする業務主管を担当していました。主な仕事は、お客さまからのイレギュラーな申し込みに対するエスカレーション対応や、新しいサービスがリリースされた際の既存システムに対する業務設計などです。さらには、オペレーションセンターの監査対応も兼務していました。
NTTドコモビジネスエンジニアリングには、たとえキャリアが浅くても、本人が望めばどんどんチャレンジさせてもらえる環境があります。いまだに忘れられないのが、新入社員時代の出来事です。従来、会社をまたぐ申込書の内容はオペレーターがシステムに手入力していたのですが、それでは効率が悪いということで、APIを活用した新たな自動化システムをつくるという施策がありました。
入社したての私はメンバーとして途中参加したのですが、大詰めを迎えるころに主要メンバーが立て続けに異動になり、私がチームの代表に着任することになったのです。もちろん上司のフォローもありましたが、メインスピーカーとして会議に参加するプレッシャーは大変なものでした。当時はいろいろな人を質問攻めにして、知識を詰め込んで会議に臨んでいました。おかげさまで無事にシステムは完遂し、その結果、オペレーターの稼働を大幅に減らすことができました。この取り組みは社長賞を受賞したのですが、何より1年目にここまで大きな施策に関われたことが、印象的でした。
現在は仙台拠点で、「PNET」(Postal advanced NETwork system)と呼ばれる、郵便局の基幹ネットワークシステムを提供する50人弱のチームに所属し、工事調整を担当しています。NTT東日本やNTT西日本、電力会社などへ回線を申し込み、関係各所と工事の日程調整を行うのが主な仕事です。納期を踏まえて、細かく日程を調整するには、直接電話することも多々あります。「この日までに開通してほしい」「この日に工事をお願いしたい」といったやり取りが多いですね。PNETは、重要な社会インフラである郵便局を支えているものですので、街中や旅先で郵便局を見つけると、日本全国を網羅する郵便局のネットワークインフラを支える誇りを感じますね。
万一の災害時に活躍できるプロになりたい
未来ワーキングについては、以前から存在は知っていましたが、当時はまず自分の業務をしっかり回せるようになるのが先と考えていました。今回、参加をアサインされ、いまならば少しだけなら貢献できるかなと考えました。
未来ワーキングでは、週3~4回メンバー同士で打ち合わせしています。昨年度は、「お財布大解剖」という施策を担当しました。私も含めて、社員の皆さんのなかには、会社のお金と自分の仕事との結びつきを意識する人はあまり多くないのではないかと思います。そこで、会社のお金と自分の仕事とのつながり、NTTドコモビジネスグループ内でのお金の流れが見えたら面白いと思いました。経営企画部の方に勉強会をお願いし、その内容を記事にして社内に公開しました。さらに社内コミュニケーションを活性化させるために、業務後に浜松町のシーバンスからから有楽町まで歩くウォーキングイベントも開催しました。社内のコネクションが広がるきっかけになりますし、運動不足の解消にもなるということで、どちらの施策も好評でした。
今後、未来ワーキングでは、会社の情報にアクセスしやすい環境づくり、たとえば幹部層からの情報が社員に均等に共有される仕組みを構築できればと考えています。また、自分の仕事が会社の進みたい方向とどうつながっているのかを、分かりやすく見せられる仕組みづくりにも取り組みたいですね。今後の目標としては、「コムエンジの社内には実はこんな人たちがいて、こんな面白い仕事をやっているんだよ」など、多くの社員の方々に発見や気づきを提供するお手伝いができたらと考えています。
将来的には、ネットワーク技術者として、例えば災害時にてきぱきと手を動かせる人材になりたいと思っています。やはり東日本大震災の体験が大きいのですが、困ったときに迅速に助けに来てくれるスーパー戦隊ってかっこいいじゃないですか(笑)。いまは情報インフラのスーパー戦隊になれるよう、ネットワークに関する資格の勉強や社内の兼業制度を利用したネットワーク関連の業務に就き、もがいているところです
いま、世の中はAIがブームですが、そんなAIをはじめとする先進のデジタルテクノロジーは、ネットワークなどの情報インフラなしには動きません。裏側には必ずネットワーク回線を引き込み、ルーターをつなぐ人がいます。情報インフラがきちんと機能するように運用保守をしている人もいます。今後もその領域に関わる人間でいたいと思います。だからこそNTTドコモビジネスエンジニアリングには、この先もネットワークを守る会社であってほしいと思います。ネットワークのエンジニアリング領域を主軸に据え、どこにも負けないプライドを持ち続けて、事業を続けてほしいと思っています。
仕事も含めて人生で大事にしていることは、何事もフラットにとらえて期待し過ぎないことです。これは東日本大震災で生活のさまざまが急に変わるという、自分の力ではどうにもならない経験から得た教訓です。特に最近はあまりポジティブにとらえすぎると、自分にも相手にもプレッシャーになると感じるようになりました。ポジティブにとらえ過ぎず、余計な期待もせず、フラットな気持ちで自分ができることを確実にやっていきたいと考えています。
OFF TIME
仙台勤務になったことで通勤時間が減り、読書と歩く時間が減ったため、最近の趣味は仙台駅周辺の散歩と喫茶店めぐりです。おいしい紅茶とケーキを楽しみながら、読書にふけっています。家にいると、家事や仕事の段取りなどを優先してしまうので、まず家を出ることがポイントです。
PROFILE
菊地 颯希
2017年、情報インフラのエンジニアを志して入社。
現在は郵便局の基幹ネットワークシステム「PNET」の工事調整担当として、人々の暮らしに欠かせない社会インフラを支えている。物事をフラットにとらえて、期待しすぎないスタンスで、着実に仕事を遂行している。