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クラウド・アプリケーション&ボイス部
出島 淳
[ 実現化への道 ]IoTで電車の玩具を動かせるようにするには
~ まずは実現性の検証から 〜
玩具のIoT化に用いた電車のおもちゃは数両からなる編成で構成されており、先頭の1両に電池を入れてスイッチ操作を行うと前に進むものである。先頭車以外は付随車で、駆動部を含む電子回路や機構部は先頭の1両に収まっている。1両目のふたを開けても中身はほぼいっぱいで、ここにIoT化のための部材を搭載するのは難しそうである。
通勤電車のような箱型の車両によっては空間が確保できそうなものもあるが、子供が好きな新幹線などスマートな流線型をしている車両の1両目の中はパンパンに詰まっている。子供に嫌われたくはないし、大人としても車両を見るたびに満員電車での通勤を思い出したくもないので、やはりかっこいい車両で実現しなければならないだろう。
そうこうしているうちにサンプルとして京成〇〇〇ライナーAE(2代)の3両編成の車両が到着した。新幹線ではないが有名デザイナーがご担当されたということもありかっこいいし、本物に乗ったときの160km/hの速さで走るスピード感もなかなか素敵な印象がある。この印象は観光で海外旅行に行くときの高揚感と相まって増幅していたのかもしれないが…その海外旅行が出張旅行でなくて本当によかった。
さらに話が脱線したが、1両目にIoT部材を詰めるのは最小限にするということになった。幸い、2両目や3両目は空っぽの附随車ということで、IoT化に必要な部材はそちらに格納すればよい…ということはわかった。何らかの方法でIoT部材を組込み、電車の走行(走る・止まる)を制御できれば、それがゴールだ!ということになった。ゴールとしてはこの時点ではやや志が低めではあったが、何もできないよりはまだマシである。低空飛行から行くべきだと思う。
試行錯誤を繰り返して
IoT部材として必要なものは、Wi-FiやBluetoothなどの無線通信機と走行を制御するための電子回路、これらの機器を動かすための電源装置である。結論から言うとワンチップでWi-Fiが利用できるマイコンチップが普及してきており、手元にあったにもあったので、それを用いた。
あとはどのように走行制御するかであるが、マイコンが動作する電圧が3.3Vと駆動部のモーターの電圧が1.5Vと大きく違う上に、後者の電圧が低いため、いろいろ考えたり実験したりしてはみたものの、両者の電源は完全に独立させ、3.3Vで動作するリレーで1.5Vの電源をON/OFFするという手に至った。消費電力は大幅に増えそうだが、モーターと電気的に切り離せるのでメリットもあったように思う。あとで記述する「工夫」にもこれが生きてくる。
電車内に組み込まない状態で電子回路を作成しテストしてみた。Wi-Fiマイコンからは適当なWebサーバーにREST APIでアクセスし、モーターのON/OFFするためのリレーをON/OFFするだけである。簡単な回路で簡単な制御だから失敗するはずはない。1両目のモーターの配線をどこかで分断し、マイコンまで延長してこのリレーに接続すればAPIの返す値でモーターのON/OFFができる。当然ながら予定通り動作した。あとは車両に組み込めれば…と思ったがやや甘かった。
次回、走行へ。